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クリスマスの夜に

街中にある大きなツリーも、豪華なイルミネーションも、おいしいケーキも、たくさんのカップルの幸せそうな喧騒も、なにもない小さな公園だけど、わたしとあなた、二人のささやかで素敵な幸せの時間が、ゆっくりゆっくりと、しかし確かに流れていって、一言も口に出せないまま、握った手だけが暖かい。


こんなにしあわせな時間が、こんなにこころあたたまる時間が、この世界の、わたしの手の届く場所にあったなんていまだに信じられなくて、左手に感じる確かな温もりさえ、夢幻のように感じてしまうけど、胸の中に溢れる大切な気持ちだけは確かなもので、それがすごくいとおしくて、すこし、せつない。


公園のベンチに座るわたしの吐く息は真っ白で、わたしの魂もきっと真っ白なんだと思う。隣に座るあなたの吐く息も、たぶんわたしと同じように真っ白で、わたしたちは同じ魂であるんだと思う。だから、わたしが感じていることが、わたしの左手からあなたの右手を通ってあなたも感じてるのでしょう。


わたしも、うぬぼれかも、勘違いかもしれないけれど、あなたの気持ちが、右手から左手へと伝わってきているのを感じる。言葉はなくても、見つめあっていなくても、そういうことは恥ずかしくてできないけど、わたしとあなたは繋がっていて、満ち足りた幸福がふたりを支配している。聖なる夜に。


体がつながれば、心がつながる。心がつながれば、体がつながる。体がつながれば、心がつながる。こうやって、わたしとあなたの体と心は、螺旋の階段を一歩ずつ昇って行くように、無限に、どんどん高くへと昇っていって、この先には何が待っているのかわからないけれど、いつまでもしあわせでいられる。


永遠に変わらないものなんてないことは知ってるから、この気持ちも、いつかは雪みたいに溶けてなくなってしまうのかもしれないけれど、雪は溶けて水になって、水蒸気になり雲になってまた雪として降り積もるように、形は変わってしまうかもしれないけれど、なくなることはなくて、それはすごく嬉しい。


愛しています。あなたを愛しています。