ごがつのそら。をやりました

先日のむきりょくかん。さんの「ほしのの。」に続き、その前作?になるのかな、「ごがつのそら。」をプレイしたので感想を。ごがつのそら。のURLはこちら。

http://mukiryokukan.sakura.ne.jp/gogatsunosora.htm

プレイ時間は毎回正確に測ってないからだいたいだけど1時間半くらい。Flash版とNScript版があって、NScript版の方をプレイ。Flashでノベルゲームをやるのが変な感じがして苦手。2005年5月の毎週日曜に1話ずつ公開されたお話のようで、もう6年も前の作品なのですか。そんなゲームをいまさらながらプレイして、「ほしのの。」の感想も書いたんだから、こっちの感想も書こうと思ったので書きます。

社会人1年目の男が、五月病にかかったような無気力感の中、ピアノの音に誘われて辿り着いた神社で巫女のアルバイトをしている女の子と出会って、事件も事故も起こらないけど、二人が石段に座ってうだうだとお話する物語。

この人の書くものは、前の「ほしのの。」と、この「ごがつのそら。」しか読んだことがないんだけれど、この人の書くものは好きだなぁって思った。どこが好きなのかはやっぱりうまく言えないんだけど、雰囲気を作るのがすごいうまいと思う。この人の情景の描写が好きなんだろうなぁ。空とか空気とかそういったものの。全体を通して、優しい顔をしたくなるような、暖かい雰囲気が流れてて、それを読んでいるのが気持ちいい。

全体の雰囲気はすごくいいし、場面場面ごとの、主人公と巫女さんの会話とか、情景の描写とか、そういうものはすごくいいんだけど、全体的に唐突というか、まとまりのない感じがする。そのせいで章ごとの印象が薄くなってる感じ。ボーイミーツガールすればそこに恋が生まれるのは必然的なんだけれども、その必然に対してもあまり描写がなくって、少し唐突かなぁと思わざるを得ないと、プレイしてる最中は思っていたんだけど、今頭の中で思い返していると、プレイしてる時に思った無理感はなかったなぁ。

この巫女さんが高校2年生なのですよ。「ほしのの。」のお姉ちゃんほど魅力的ではないにしても、十分魅力的です。明るくてちょっと冷めたというか淡白な感じの女の子。自分はこの4月から社会人1年生になるわけですが、もう2ヶ月もすればこの主人公と同じ、社会人1年目の5月を迎えるのです。ああ、女子高生と仲良くなりてぇ……。この二人、本人たちは「他人以上、友達未満」の不思議な関係、って言ってるんだけど、そんなことねぇよこっちから見たらそんなところに収まってる関係じゃねぇよもう友達以上だろふざけんなよ、と怒鳴りつけたくなるんですけど……。2ヵ月後の、社会人1年目の5月になったときにこの作品をやったとしたら、今とは違った感想なのかなぁってちょっと悔しくなっています。

「他人以上、友達未満」っていう関係がキモなんだなぁと。今、自分にはインターネットというツールがあって、そこには例えばTwitterがあったり2chがあったり、自分の愚痴をどこかの見知らぬ誰かに聞いてもらう/聞いてもらっていると思える環境が、簡単に手に入る状態であるんだけれど、もしもそれが、ある特定の人で、その人が愚痴とかなんでも言えちゃうような場所にいる他人で、つまり自分の弱いところとか、多かれ少なかれ今自分がいる環境に合わせて仮面とかヴェールを被っているそれを取り外した自分を話せる人がいたとしたら、って考えると、それはきっと恋に変化しやすいのかな、と思います。それは、本人たちが他人だって思って/思い込んでいたとしても、このゲームの中だったら、少しずつ近づいていく石段に座った二人のCGの距離感とか、外から見たときにはわかる部分に現れてくるんだろうなぁって思います。

そうしてエンディングのスタッフロールが流れたあと、最後の巫女さんの視点のモノローグがすごくいい。明るいけどちょっと淡白な女の子が、主人公のことをどう想っているのかっていうのが、どきどきするくらいに伝わってくるのがすごくよかった。「この格子戸を開けると、私の恋は終了する」っていうセリフが、このゲームをやった中で一番印象に残ってます。恋かー……

この作品のことではないですが、現実っぽさがないっていう感想をたまに目にするんだけど、自分はフィクションの中にリアルさっていうのはあまり求めていないというか、そういうものなんだって処理しちゃうタイプだから、よっぽどのことでもない限りは気にならないんだけど、少し気になる部分があるかもしれません。

とりとめもなく書いててまとまりがなくって恐縮なんですが、最終的には面白かったの一言でおさまります。事件や事故は起こらないけれど、他人以上、友達未満の二人が織り成す、優しい雰囲気のいい恋愛ものでした。おまけシナリオの八月の雪はまだプレイしてないので楽しみにして今日は寝ます。