なでなでは正義!

4月から社会人として働き出して初めての週末の土曜日に、「これはちょっと創作物摂取しないと死ぬ」と思って、電車で二駅行ったところから徒歩10分くらいのところにあるブックオフまで出かけていって、うーうー唸りながら漫画の棚を徘徊して、これは!と思って手にとった『ろりーた絶対王政』が面白かったので感想を書きます。

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『ろりーた絶対王政』っていうタイトルからしてちょっとひどくって、普段だったら店頭で手にとってみることはないくらいのひどさなんだけど、一週間働いてみて、ストレスを発散させるのに散財したい!という気持ちが強かったのか、とりあえず手にとって立ち読みしてみたら面白くって、そのままレジに持っていってしまいました。

どういうお話なのかとかはamazonとかWikipediaとか見てもらえばいいんだけど、とにかく小学生のりりがめちゃくちゃかわいい。小学生のりりがいろんな理由とか悩みとかを抱えながら、姉のるると双児の高校生に見えるように高校生を演じていて、高校生を演じているりりも、優等生を演じているるるも、その姉妹に振り回されながら主人公の鷹彦も、自分の居場所がどこにあるのかわからなくてどうすればいいのかとか、女の子なんていうわけのわからないイキモノとどうやって接していけばいいのかとか、思春期な結構痛い悩みみたいなものを抱えながら、ちょっとずつ成長していくんだけど、そんなことはおいておいてなによりも小学生のりりがかわいい。恋愛とかLoveな好きとか、そういう感情はまだぜんぜんわからない、男からしてみればわけのわからないイキモノになる前のりりが、好きっていう感情を知って、わけのわからないイキモノになっていくその過程が、ものすっごくかわいく描かれていて、りりにめろめろです。

心がね、ふわってしてきゅんてなって、ひとりの人のことでいっぱいになっちゃったら、もうダメね。どんなに抵抗しても自分の気持には逆らえないから、その人のものになるしかないのよ

階段で友だちのちはやに電話しながら、壁にこつんとおでこをあてて、「よくわかんないよ」って喋ってるりりがすごく女の子でした。わけのわからないイキモノである女の子。

主人公がりりを好きになる過程も、りりが主人公を好きになる過程も、その過程で生じる悩みとか、恋愛じゃなくって、小学生が高校生を演じていることから生じる悩みとか、小学生と高校生が付き合っているから生じる悩みとか、その悩み自体も悩んでいる姿も解決しようとする過程も丁寧に描かれていて、読んでるこっちも一緒にどきどきしたり悩んだりしながら読み進めていけるんだけど、そういうところよりもなにより、なでなでとかぎゅーとか、恋愛っていう大きな括りからしてみたら、キスとかセックスとかに比べて取るに足りないようなささやかな触れ合いが、すっごく嬉しいものなんだよーっていうのがちゃんとものすごく丁寧に表情や感情や絵で描かれていて、それがちゃんと描かれているのがすごく嬉しいのです。

こういう話になるといつも真っ先に思い浮かぶのが、東山翔の漫画の中の、「手をつなぐってこともひとつになるってことじゃん……」みたいなセリフです。普段エロゲとかラノベにばっかり触れているからか、手をつなぐとか、頭をなでるとか、肩と肩が触れるとか、ほんと取るに足りないようなささやかなことなのかもしれないけれど、そういうちっちゃな触れ合いが、初めてのときはちゃんと描かれていても、初めてのどきどきが終わったあとは、あまり触れられることがないようなきがしているんだけど、何度手をつないだって、手をつなぐっていう相手とひとつになる行為って、何度だって嬉しいものなんじゃないかと思うのです。いいじゃんもっとどきどきしようよ!まだその先に恋人としてする行為はいろいろとあるけど、手をつなぐのって恋愛の中でMAXに近いところあるじゃん!って思っているので、そういう描写が丹念に描かれていると嬉しくなります。

『ろりーた絶対王政』だと、まず最初になでなでが出てくるんだけど、なでなでって強くね?僕はなでなでにすごく弱いです。なでなでしたい……なでなでされたい……。もっとなでなでしてー。なでなで。なんでなでなでってこんなにすごいんだろ。まずなでなでっていう単語を口に出したときの語感が、まさになでなでって感じがしててすごいです。撫っていう漢字もまたすごいです。手偏に無って!なでなでしたりされたりすると、ふわふわ気持ちよくなって、頭の中とかがからっぽになって幸せな気持ちになるんだと思います。特に、ちいさいこの髪の毛って、見ているだけでもさらさらでふわふわしているので、とてもよいと思います。一巻で鷹彦になでなでされて気持ちよくってとろんとした表情のりりがとてつもなくかわいいです。どストライクだよ。この絵見た瞬間に、ああこれ買わなくちゃって思ったよ。2巻の最後の、「りりを全部鷹彦にあげるね」よりも、鷹彦になでなでされて幸せになってるりりが一番かわいいと思います。

鷹彦がりりを抱き上げてるショットとか、りりが鷹彦に抱きついているショットとか、この身長差はもう犯罪としか思えないレベルで、りりが恋を知る前も知った後も、小学生!として描かれていて、それもすごいよかった。

高校生になろうとして、学年で1位を取るくらい勉強も頑張るし、体育祭ではクラスのみんなに迷惑かけないように練習するし、そうやって自分の居場所をなんとか手に入れようとしてもがいていたりりが、高校生を演じている自分じゃなくて、ちゃんとした自分を認めてくれて、居場所になってくれた人と一緒に、これから先もずーっと幸せに過ごせる未来が広がっていて、最後まで読んだ時に、こっちまで幸せだなぁって、そんな風に思えるようなお話になっていて、すごく面白かったです。