「演劇少女は古都鎌倉を雪で潰す」を読みました

そういえば、と、むきりょくかん。さんの、「演劇少女は古都鎌倉を雪で潰す」の絵がすごくいいなぁ、タイトルも惹かれるなぁと思って、でもその時にはクレジットカードなかったから買えなくて、読めてなかったなーっていうことをふと思い出して、せっかく思い出したんだからそのまま勢いで買って読んじゃえ!ってことで、「演劇少女は古都鎌倉を雪で潰す」を読みました。

今までむきりょくかん。さんのゲームで読んだのは、「ほしのの。」と「ごがつのそら。」と「はちがつのゆき。」の3つで、どれも感想みたいなものを書いてるから、今回も書かなきゃいかんだろということで、久しぶりにブログも更新できるし、なんか書きたいなぁとは思ってたので、ちょっとばかし書きます。

公式サイトはこちら。今までの感想はゲームタグから。

http://mukiryokukan.sakura.ne.jp/iroyuki.htm


プレイ時間は2時間ちょっとくらい。長くもなく短くもなく、選択肢はなしの一本道で、今の自分にはこのくらいの長さのお話がちょうどいいなーって思うくらいの気楽な長さ。お高校の演劇部の話。演劇バカの女の子が、知らず知らずのうちに鎌倉を雪で潰そうとしてて、それを止めるために別の女の子が演劇部に入部して、さて鎌倉は無事でいられるのか、っていうお話。

この作者さん、高校のときは演劇部に入っていたみたいで、作中でも出てくるんだけど、最初に不思議なセリフで謎を残し、最後で明かすっていう、ミステリアスな導入、コミカルな前半、シリアスな後半、っていう書き方をする人っぽくて、ほしのの。も確かにそうで、導入の印象的なフレーズから一気に惹き込まれて、この部分に向けて盛り上がっていくんだなぁっていうのを印象づけるから、すごく読みやすい。雪に埋もれた街、舞台に降る雪、「貴方の傍にいると、世界に雪が降るの」。真っ白な世界で台本を片手にセリフの練習をしている冒頭から、いつも通り、と言っても三作品しか知らないけれど、素敵な雰囲気を作ってて、やっぱりいいなぁ好きだなぁって素直に思えるのがすごくいい。
高校の演劇部が中心なので、大好きな演劇に打ち込む人たちや、演劇のことしか考えてない演劇バカが、みんなで同じ方向を向いてるのが、すごく眩しい。演劇の話というと、Back Stageっていうゲームを思い出すんだけど、演劇ってものすごく"熱い"ものなんだっていうのを感じてて、その演劇に打ち込んでる姿って、恥ずかしくなるくらい思いっきり青春してて、うらやましくなるくらい。好きなものを自信を持って「好き」って言えるのって、大事なことだよね……高校生の頃に、こういう風に、自分が大好きで熱くなれるものに全力投球しないと、その先ダメになるよね……そういうものなんにんもなかったよね俺……。

わかりやすい言葉遣いとか、風景や空気の描写とか、魅力的な登場人物とか、熱かったりバカだったりするセリフとか、素敵な音楽とか、ほんわかする絵とか、そういう要素がきれいに合ってて、その上、思いっきり青春で、この雰囲気が、本当に好き。なんだけど、終盤で、突然今までの雰囲気をぶち壊すかのような、異能空中バトルが始まるんだけど、個人的には、これはやっちまったなーっていう印象が強くって、今まで積み重ねてきた雰囲気が一変しちゃって、そこが残念だったとは思うけど、異能バトルの後の、最後の場面で、うわーやっぱりそうくるかーって、わかっているのにじんわり入り込まれて泣きそうになっちゃうのはずるいと思いました。


「演劇少女は古都鎌倉を雪で潰す」っていうタイトルから、卑怯だよなぁって思うくらいの叙情感が溢れ出してるんだけど、プレイする前に思っていたよりも、その叙情っぽさがあんまりなかったかなぁっていう風に思ったけれど、このタイトルになにか感じるものがあるならば、ぜひやってみればいいと思います。

これのせいで、今、鎌倉行きたい熱がかなり高まってきているので、9月に鎌倉行くかもしれないです。去年の夏に一度行ったときは、ひとりで砂浜で1時間、鎌倉高校前駅で2時間座ってぼーっとしてた記憶しかないので、今度はちゃんといろんなところを見て回ったり、鎌倉の雰囲気を感じたいです。