けいおん!最終回&番外編によせて

本日7月2日26時32分を持って、けいおん!のTBC(仙台)での地上波放送が終わりました。
最終話→番外編と2本立てで放送されたんですが、ちょっと思うところがあったので、いろいろ書きなぐってみたいと思います。


最終話の最後、ライブが始まって…から始まる一連の部分を見ていて、まぁ久しぶりに本気で涙を流してしまったんですけど、けいおん!を見始めたの理由っていうのは、京アニだし仙台で放送するし、こういう女の子たちのゆるゆるな時間(けいおん!的に言えばふわふわな時間)が好きだったからで、ゆるゆるふわふわ女の子たちが日常を過ごしていくのを眺めていたかったからなんですよね。ゆるふわな時間の流れる箱庭の中の優しい世界を飽きるまで眺めているような心持ちで。

唯と澪と律と紬と、それから憂と和とさわちゃん先生と。そこに梓が突然入ってきて、最初はなんだかなーと思ったけどすぐに馴染んで、そうやって時間が少しずつ前へ前へと進んでいった。


みんな仲良しで、見たくない面なんて全然なくて、本当にゆるふわしあわせな時間が流れていたところに11話というアニメオリジナルの異質なエピソードが挿入されて、なんだか見たくなかった一面、いや、見たくなかったというよりは、澪が律をうざったがるという10話までの、そして澪と律の間に流れていただろう時間の今までの積み重ねからは考えにくい展開が、どうも合わなかった。

なぜ突然、たったあれだけのことで澪は律を遠ざけようとしたのか。今までに溜まっていたものが爆発したから?未だにその理由はうまくつけられないんだけれど、やっぱり澪は律のことをちゃんとわかっていたし、律も澪のことをちゃんとわかっていた。それは確かだったのでよかった。


さて、最終話。みんなでライブをしたい!その想いだけで、あずにゃんはゆい先輩をすごく心配していたし、澪も、律も、紬も、みんな同じ気持ちだった。唯も同じ気持ちだった。今まで部活なんかやったことなくて、ゆるゆるふわふわしながら毎日をただ過ごしていただけの唯が、高校に入って、軽音部に入ってやっと、打ち込めるもの、その場所にいたい!って思える空間を見つけることができた。
「あの頃の私、心配しないで!」って唯のセリフにある通り、1話では倒れちゃった唯が、確かな一歩を持って、倒れず前に進むことができたっていう成長を見せた。最終話で、しかもあの部分で、今までほとんど見せてこなかった唯の軽音部という場所に対する想いが爆発して、今まで僕が眺めてきた世界が、もうそれだけで輝いて見えた。

あー、もうこれは唯のためのアニメで、唯は変わっていないように見えても、おおきく成長していったんだな。この青春の1ページは唯の将来においても燦然と輝く大切なものになるんだな、なんて感じて涙が溢れてきちゃっていた。
まあこれは後付けちっくな理由なんでそのときの自分が本当はどういう気持ちで涙を流していたのかは実際のところわからないんだけれども、久しぶりに泣いた。大きく心を揺れ動かされた。それだけは事実だった。


やさしいせかい、やさしいみんな。確かな一歩を踏みしめた唯に祝福を。


ゆるふわに始まってゆるふわに終わる、そんなアニメだと思っていたのに、こんなにも心を動かされる最終話になるとは思ってもいなかった。


そして、そのまま番外編に突入。OPが流れる前から唯憂以外のみんなが、なにか荒涼とした感じで、あれ?何これ?これがあのライブの後の、ある冬の日の光景だというの?と困惑しながら見ていました。

前半ではほとんどみんなが唯としか会話をしていない。唯が来る前の部室で、みんなでテーブルを囲んでお茶を飲んでいるのに、楽しげな表情が見られない。なんだこれはおかしいぞ。何か見ていて痛々しいものを感じるぞ、と。
なんというか、すべてが唯に繋がっているというか、みんなが唯のために、が文化祭のライブだとしたら、唯がみんなのために、がこの番外編な感じで、正直見ていて何か気持ち悪かった。

最終話ではこの軽音部の5人の行く先には何か幸せな、ゆるふわな未来が待っているような印象を抱かせてくれたのに、この番外編を見て、5人の行く先には、いや、唯を除く4人の未来が、唯がいないとどうしようもないような、なんか暗いものである印象を抱かせてしまっている、そんな気がするのです。


各キャラクターを多面的に映したり、それぞれが一人の日常を過ごしている光景から、軽音部での日常の尊さを見せるため、というのも確かに分かるけれども、それ以前に、軽音部では唯がすべてになっちゃっている。あまりにも不思議な、僕が望んでいない光景がそこには広がっていた。
この番外編で京アニが僕らに何を見せたかったのか僕には理解できなかった。



と、最終話→番外編までを見た感想を、とりあえず書きなぐってみたのだけれど、キャラクターそのものはみんな魅力的で素晴らしかった。
OPであずにゃんが先輩たちからほんのちょっと離れたところで、寂しそうに肉まん(あんまん?)を頬張っているのを見ると、どうしようもないくらいあずにゃんを抱きしめてあげたくなるし、最終話で、ずっとゆい先輩を心配していたあずにゃんが、そのゆい先輩に抱きしめられて「もぅ、ゆい先輩は仕方ないんだから…」見たいな感じで、首から回された腕に手をそっと添えるシーンなんて見たら、もうあずにゃん最高!あんな妹が欲しい!なんて思っちゃうのは必然です。


ゆいも、ういも、あずにゃんも、みおも、りつも、むぎも、さわちゃんも、それぞれがそれぞれの魅力を持って、それぞれの立場にしっかり立っているけれど、けいおん!はやっぱり"ゆいの物語"なんだな、と言わざるを得ない、そんな内容だったと思います。


ゆるふわな時間の流れる、すぐに忘れられてしまいそうな、そんなアニメだったけれども、ハルヒよりも、らき☆すたよりも、僕の心の中には何かが残ったような気がします。