読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

どこまで飛べばいい?

なんかすごくどうでもいいことを、実家にいるときのお風呂に入る前、洋服を脱いで下着を脱いでメガネを外して……ってやってるときに考えていたことを思い出した。


人の背中には羽根が生えていて、地上でうろうろしている人もいれば空へと飛んでく人もいる、ということ。
誰の背中にも羽根が生えているけれど、雛鳥が空を飛べないように、ただ羽根が生えている、羽根を持っているというだけのことで、雛鳥が空を飛べるようになるには、親鳥に巣から突き落とされたり外敵に狙われたりする中で、元居た安全な、親鳥が守ってくれる巣の中に戻ることだけを願って必死に羽根を動かして、何度も何度も失敗してやっと飛ぶことができるように、相当な努力が必要なんだと思う。
そうやって相当の努力を積んで、やっとのことで空を自由に飛び回ることができるようになった人たちは、ただ地面に近い高さを飛び回ることだけで満足するのかもしれないし、ただその高さで飛び回るだけでも常に羽根を動かしてないといけないから疲れちゃって地上に戻るかもしれないし、より高く、より高くへと飛んでいこうとするかもしれない。
より高く飛んでいった人たちは、だんだん疲れてきて今の高さで満足して、これ以上高いところへ行くのを望まないかもしれないし、地上へ戻っていくかもしれないし、さらなる高みを目指すかもしれない。
どんどん高いところへと向かっていくと、そこには大きな太陽が待ち構えていて、ロウを固めて作った羽根で空へ空へと飛んでいったイカロスのように、太陽の熱で羽根を燃やされて地上に落下していくのだと思う。でも、そんな太陽にも負けずに更に空高く登っていける人たちも少しはいるんだろう。


さてここで、地上をうろうろしている人たちは、たくさんの努力をしてやっとのことで空を飛ぶことができるようになった人たちに対して、
「そんなに努力して空を飛べるようにならなくても、僕たちは地面の上を自由に走り回れるし、空を飛ぶなんてそんな不安定なことをするなんてバカじゃないか。でもちょっとうらやましいな。だからと言って僕は努力するつもりなんかないけど」
なんて思ってるだろうし、空を飛ぶことができるようになった人たちは、地上をうろうろしている人たちに対して、
「地上をうろうろしているなんてバカみたいじゃないか。僕たちにはせっかく空を飛べる翼があるのだし、空を飛ぶということは地面の上を走り回っているよりよっぽど自由なんだ。でも、ちょっとは前みたいに楽に生きたかったと思うな。だからと言っていまさら地上になんか降りたくないけど。」
なんて思ってるんだと思う。そして、まだ高くへと飛んでいく人に対しては、
「これ以上高くへと無理して飛んで行かなくても、この高さで僕らは十分に自由気ままにやっていけるじゃないか。でももっと高くに行けばもっと綺麗な景色が見えるんだろうな。だからと言って、そんな頑張って上を目指そうだなんて思わないけど」
とかそんなことを思ってるだろう。


同じように、もっと高くへと飛んでいく人も太陽に向かって果敢に飛んでいく人も、自分より下の人を見れば、
「あいつらはここの素晴らしさをわかっていない。ちょっと努力すればすぐ来れるのにそんなところで呑気に暮らしててバカらしい。下に戻って今よりも力を抜いて生きたいとちょっとは思うけど、思うだけで戻りたくなんかないや」
と思い、自分より上の人を見れば、
「ここでもう十分じゃないか。これ以上努力をして上にいったところでなんになるというんだ。あいつらは気が狂ってる。けど上の方はここよりもいいところなんだろうな。だからといってこれ以上頑張る気にはならないけど」
と思う。


果たして、どの位置にいるのが一番いいんだろうか。
なんて、そんな馬鹿みたいなことを考えていた。

自由ってなんなんだろうね。世界ってなんか怖いね。生きるって難しいね。


こんなことに答えなんてでるはずないんだろうけど。

例えば大学受験を3年くらい前に通過してきたのだけれど、自分は今いる大学にどうしても入りたい!っていうから入ったんじゃなくて、ただなんとなく無理しない程度に、自分が大変でない程度に勉強してきて、今の自分のレベルと比べたときにここならまず大丈夫だからここにしよう、といった感じで入ってきたのだけれど、思えば高校受験のときもそうで、思いっきり、遊ぶ間寝る間も惜しんで、頭に「絶対合格」なんて鉢巻きなんかをして夜遅くまで努力する、とかそういうことをやってこなかった。
だからドラマで出てくるような受験生とか、他人の受験話なんかを聞くと、純粋にすげぇなぁって思うんだけど、進路指導の先生に廊下を歩いている時に指導室に呼ばれて、一個上を薦められたことがあって、そこは今よりもかなり努力してなんとか、ってレベルだったんだけど、そうやって努力して上を目指そうと思わなかった。
努力して上に行くよりも、現状維持で確実に行けるところを選ぶような、「苦労は買ってでもしろ」なんて言う人の精神とは全く逆の性向があって、だからどこかで一回大失敗をしたほうがいい、するだろうと自分では思っている。

僕は、今のこの状態でいるのが一番いいと思っているし、それに他人から干渉されたくないと思っています。君のために言っていることなんだよ、と言われても納得しないことには簡単に頷けない、なんて岡崎律子が歌っているけど、僕はそう思う。